Fine Art
現代美術
私は福井での講演を終えたのち、その時にいただいた越前和紙を使って試作を始めました。この和紙はとても美しい紙でしたが、残念ながら漆技法で使うには分厚すぎ、しかしあまりにも高価なため、放っておくわけにもいかない品で、私は、これに何かを足せるんじゃないかと感じられました。手漉き和紙の美しい質感が「私をキャンバスみたいに使って絵を描くのはどう?」と私を誘ったのです。
絵具ではなく漆を使いたいと思いましたが、相当量の漆が必要となり、とても贅沢な作品になってしまいます。しかし和紙は私に、「ここに漆を塗って」と誘い、その漆は素早く和紙に染み込んでいきました。染みこんだ漆は乾けば防水になるので、その上に貝殻や金箔などの層を積み上げることができました。
金沢の金箔や輪島塗と同様に、越前和紙は400年以上の長い歴史があります。なので、私は冗談で、これを伝統芸術と呼んでいますが、こういった伝統材料を現代生活にマッチするように使うのは、わくわくするだけでなく、とてもやりがいがあることです。