Jewellery
ジュエリー
東京のジュエリー会社から、オパールとカメオに蒔絵を使用したデザインの依頼を受けるまで、私はずっと木を素地とした装身具を作っていました。宝石と漆を組み合わせた作品を作ったのはこの時が初めてでしたが、難しいけれどワクワクするチャレンジでした。私は子供の頃から半貴石や水晶をずっと集めていて、浜辺の砂を掘り、貝殻や、ガラスのかけらのような宝物を探していました。ヨーロッパ人は漆のお椀の価値はわからないかも知れませんが、宝石や金の価値は熟知しているので、伝統的な金蒔絵技法を紹介すれば、日本と西洋の架け橋になるのではと思いました。
私は気に入ったラピス・ラズリ、琥珀、オパール、珊瑚、真珠を集め、素材の特色を最大限に生かすデザインの作品を作ることを心がけました。こんな小さな世界で細かい作業をするのは、和紙を使った作業における圧倒的な自由さとは真逆のことです。めまぐるしいスピードで西洋化が進む日本の文化の中、日本の若者は自らの伝統的なルーツを知る機会などほとんどないのではないかと心配でしたが、その中で漆は重要で不可欠な役割を果たすと気づきました。多くの名工が姿を消し、職人自身が生活ができないという昨今、現代の若者が漆の良さに気づく前に、日本の漆文化そのものが消えつつあるという非情な現実もあります。そこで私は、普段使い用と、特別な日に身につけられる手頃な価格の現代的なアクセサリーを作りました。漆のアクセサリーを身に着けることで、漆の美しさ、豊かな光沢、軽さと優雅さを気に入ってくれればと期待しています。モダンな感覚と透明感を加えるため、アメジスト、ラブラドライト、ルチル・クォーツ、水晶、珊瑚や淡水真珠のような半貴石のビーズを使いました。