縄文
縄文人の漆に対する愛情
縄文時代の始まり
氷河期の終焉は、石器を道具として使っていた旧石器時代の終わりと一致しています。縄文時代は約16,000年前に始まり、その時に栄えた先史時代の文化は「縄文文化」と呼ばれています。縄文人は狩猟と採集を中心とした霊的な生活をし、自然と調和しながらの社会生活を行っていました。彼らは土器から装飾品に至るまで、幅広い芸術的表現ができた、非常に洗練された人々でした。縄文人は9,000年以上も前に漆の特色を生かして生活をより豊かにする方法を既に知っていたのです。彼らは漆を土器の水漏れ防止や、籠の補強、櫛の塗装、さらには魔除けを作ったり、糸や布にも塗っていました。縄文人は赤い漆を生きている血の色、つまり生命の象徴とし、逆に黒い漆は死んだ血の色、死の象徴として使用したと考えられています。このようにして彼らは人間の生涯過程を表現し、彼らの宗教的遺物にこの思想が反映されています。
1999年、北海道函館市(旧南茅部町)の垣ノ島B遺跡で、現在も世界最古となる、植物性繊維で織った布に、3層の赤い漆が塗られている漆製品が発見されました。繊維は完全に腐ってなくなっていましたが、漆はそのままの状態で残っていました。放射性炭素年代測定の結果は紀元前7,170〜7,050年という、まさに世紀の大発見でした。
この布は大きな墓穴にあった遺体の頭や肩があったと思われる場所で見付かったため、専門家はこれが呪術師の頭と衣装に付けられた装飾布だろうと考えています。赤や黒の大胆で現代的な文様に塗られた漆皿は全国で発掘されています。
Photos credit: Hakodate Jomon Culture center