スザーン・ロス について

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ロンドンの美術館で開催された江戸時代の美術展で初めて出会った漆は、私の情熱となりました。かつて見たことのない美しさ、そして空間で星のように輝く、金や螺鈿象嵌の豊かで柔らかい漆の深い質感は私の心をとらえて放しませんでした。何も知らない私は漆工技術を3ヶ月から半年でマスターできると考えて1984年に来日しました。しかし、この30年で私が学べたことは、漆の達人になるのには少なくとも30年以上かかるという紛れもない事実だけです。この魅力的な工芸品のあらゆる層の下には、さらに多くの層が潜んでいたのです。私は漆の技法を完全にマスターすることを諦め、これは生涯をかける美と神と自分の魂の探求だということに気づきました。長い忍耐を乗り越えることで、全ては明らかになることでしょう。

 
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略歴

これまで作品の製作、展示だけでなく、この素晴らしい漆芸術を守っていこうという私の情熱をお話させていただく機会を何度も与えていただきました。私のこれまでの取り組みを以下に簡単にお話します。

私は1990年に大和日英基金の奨学金を受け、石川県立輪島漆芸技術研修所に入学、その後2008年までの9年間、熟練の漆作家の先生方にご指導いただきました。さらに1年間、文化庁から助成をいただき、人間国宝の小森邦衛先生に師事させていただきました。そして、2016年には漆作家としての活動をさらに広げるための3年間の助成金をいただきました。

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受注製作を受けた企業には、株式会社明治(乳製品)、株式会社八木研(現代仏壇)、パルジェ(宝石店)、アキツ工業株式会社(トロフィー製作)などがあります。

 

教育普及活動として、国内では金沢大学、福井県立大学の学生対象の講義を、富山大学と京都府立大学では一般対象の講演をさせていただきました。海外ではニューヨークのメトロポリタン美術館、日本国際交流センター、ロンドンの大和ジャパンハウス、イギリス・ダラム市のダラム大学での講演、そしてフロリダのモリカミ博物館、ハワイのホノルル美術館、イギリス、ダラム市の東洋博物館では漆のワークショップと講演をさせていただきました。

日本に着いたばかりの22歳の頃

日本に着いたばかりの22歳の頃

そのほか犬山市教育委員会とNPO法人丹波漆主催の行事での講演、民間企業(パソナグループ)、鎌倉彫一陽会、中部インダストリアル・エンジニアリング協会、日本漆工協会などでの講演と漆の体験講座をいたしました。日本人、日本語を母国語としない小学生も含め、漆体験講座の最年少の参加者は9歳でした。

ドキュメンタリーやパネリスト、伝統工芸を紹介する案内役など、様々なテレビ番組に出演しています。また、多くの雑誌からの取材、新聞のインタビューを受けたほか、漆についての寄稿も行い、2015年9月には書籍「漆に魅せられて」(桜の花出版)を出版しました。

 

日本の伝統工芸の諸問題と未来を話し合う協議会にパネリストとして参加したこともあります。また、日本には漆の木が不足していると考え、漆の木の植栽を続けています。

 

私は日本の漆産地のみなさんが同じ傘の下に集まり、職人を助け、世界レベルで漆についての教育を行うことを願い、全国の漆産地の訪問を続けています。また、かつての私のように、漆を学びたいと考えている外国人が、もっと漆に親しめるような環境を作っていこうと努力を続けています。

 

スザーンの詳しい経歴は ここ、からご覧いただけます。

 
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講演、講義、ワークショップ(実技体験講座)

大和ジャパンハウス(イギリス、ロンドン)2018年11月25日

ダラム大学(イギリス、ダラム) 2918年11月29日

東洋美術館(イギリス、ダラム)2018年12月1日

イースト・ウエスト・センター(アメリカ、ハワイ)2014年

ホノルル美術館(アメリカ、ハワイ)2013年6月

モリカミ博物館(アメリカ、フロリダ)2018年12月7,8日

ジャパン・ソサエティー(アメリカ。ニューヨーク)

メトロポリタン美術館(アメリカ、ニューヨーク)

ハノイ美術博物館(ベトナム、ハノイ)

日本芸術文化国際センター(神奈川県)

金沢大学(石川県)

富山大学(富山県)

京都府立大学(京都府)

福井県立大学(福井県)

太洋州ー日本青少年交流(石川県)

コロラド・スプリング・ユース・オーケストラ(石川県)

横浜インターナショナル・スクール(神奈川県)

高岡市美術館(富山県)

砺波市美術館(富山県)

石川県輪島漆芸美術館(石川県)

犬山市教育委員会(愛知県)

NPO法人丹波漆(京都府) 

鎌倉彫一陽会(神奈川県)

日本アジア協会(東京都)

日本漆工協会(東京都)

中部インダストリアル・エンジニアリング協会(愛知県) 

パソナグループ(東京都)

金沢卯辰山工芸工房(石川県)

北國新聞(石川県)

受注製作

株式会社 明治(東京) 

株式会社 八木研(大阪)

パルジェ(東京)

アキツ工業株式会社(大阪)

高島屋(大阪) 

公益財団法人いしかわ結婚・子育て支援財団「しあわせのいえ」(石川)

個展

高島屋(横浜、名古屋、京都、大阪)

三越(日本橋、恵比寿)

阪急百貨店(うめだ) 

伊勢丹(新宿)

近鉄百貨店(大阪) 

ギャラリーあすか(大阪) 

ギャラリー・バザレ(広島)

クラフトアート・フェアじないまち(大阪)

箱根やまぼうし(神奈川)

ギャラリートネリコ(石川) 

石川県立伝統産業工芸館(石川)

今井金箔ギャラリー(石川)

ミニギャラリー玉藻(しら井昆布店内)(石川)

作品展示の一部(公募展)

朝日現代美術展(大阪)

現代美術展(石川) 

石川の伝統工芸展(石川)

金沢城・兼六園大茶会工芸作品公募展(石川)

東京ギフトショーでの石川デザインセンター展示品選定(東京) 

国際漆展・石川(石川)

受賞歴

1990年:「大和日英基金」奨学金 

2008年:「第14回金沢城・兼六園大茶会展」入賞

2008年: 文化庁より、輸出漆器の技法研究と、輪島塗の見識を広める目的で、重要無形文化財(髹漆)保持者の小森邦衛先生の指導を受けるための奨励金を受ける。

2009年:「第15回金沢城・兼六園大茶会展」入賞

2010年:「第16回金沢城・兼六園大茶会展」石川県知事賞受賞 

2011年:「JTOジュエリーデザインコンテスト」入賞。

2014年:ハワイ、ホノルルのイースト・ウエスト・センターのアーティスト・イン・レジデンス。

2016年:石川県産業創出支援機構(ISICO)より、作品展開のための補助金3年分の助成。 

2016年:「第22回金沢城・兼六園大茶会工芸作品公募展」入賞。 

2019年:「第75回現代美術展」で北國賞受賞

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テレビ、雑誌等

30年に渡る漆作家としての活動の中、 スザーンはマスコミから多数の取材を受けました。

これまで取材を受けた新聞・雑誌・テレビ番組などのリストはこちらからご覧になれます。

AC Japan (Advertising Council of Japan)

7月2019~6月2020

 

 Is Japan Cool?  by ANA (All Nippon Airways)

‘Is Japan Cool?’ Documentary by ANA

‘Is Japan Cool?’ Documentary by ANA

 

2019年春、スザーンは日本政府発行の広報誌「We are Tomodachi」に掲載されました。記事はここからお読みいただけます。

‘Urushi: Preserving the Treasure for the World’ by the Japanese Government

‘Urushi: Preserving the Treasure for the World’ by the Japanese Government

 

NHK World

NHK World Japanophiles (Part 1)

NHK World Japanophiles (Part 2)

2010年、スザーンと彼女の作品のドキュメンタリー番組がNHKワールドで放映されれました。

 

イギリス人輪島塗作家スザーン・ロス

 

Noto Magazine

SuzanneはNoto誌に掲載されました。 ここを読む

 

出版物

Urushi ni Misarete 2015

Urushi ni Misarete 2015

2015年、私の漆への情熱、その美しさ、起源を追求する行程、そして、現代のテクノロジー社会の中における存在の危うさについて書いた本を上梓しました。なぜ私がこの貴重な伝統的芸術を、日本人のためだけでなく、人類全体のために守り伝えることが急務であると考えるのかを綴っています。

PDF 

私の初の著書「漆に魅せられて」の

ご購入はここをクリックしてください。

 

スザーンは新聞・雑誌へ寄稿もしています。最近では,モリカミ博物館広報誌の 2018年秋/冬号に掲載された「日本の伝統蒔絵の芸術」を執筆しました。