Artwork

JEWELLERY

FINE ART

VESSELS

1981年、私がまだロンドンの美術学校の学生だった頃、ロンドンの王立美術院(Royal Academy of Arts)で開催された「The Great Japan Exhibition: Art of the Edo Period 1600-1868(大日本展:江戸時代の美術1600年〜1868年)」で展示されていた漆芸品を見た瞬間、私は漆と恋に落ちてしまいました。1984年、私は漆技法を学ぼうと日本にやって来ましたが、当時の私には、これが自分の一生の仕事となることを知る由もありませんでした。当時の日本の伝統工芸の世界は男性社会であったため、私は何度も門前払いを受け、ようやく漆を勉強できるようになるまでに5年が経過しました。1990年、ようやく石川県立輪島漆芸技術研修所への入学が認められ、それからの9年間、様々な漆芸技法を学ばせていただきました。その後は作品を個展や公募展で発表し続け、2016年には輪島市内に自らのギャラリーのオープンに至りました。

漆は元来の美しさと自然な光沢を持った多才な素材です。漆の性質を熟知し、革新的な作品を作った江戸時代の熟練職人達のように、最高の素材を使い、日本の名匠から学ぶ機会を与えていただいた私は、現代社会の需要と生活様式に溶け込む、今日的な漆芸作品の限界に日々挑戦しています。私が大きく感銘を受けた日本人の卓越した美意識は、私の製作の原動力となっています。